たまり水のように、どんよりと黒い水を張った大川の夕ぐれが、
点々と白い帆を浮かせて、次第に広く遠く、目の中へひろがって来たのである。
白い吹雪が大原の中を、
点々と飛ぶ、大きく畝ねる波系が、白くざわざわと、金剛杖に掻き分けられて、裾に靡く、吹雪は野菊の花で、波系は芒の穂である。
この時偶然彼の眼は、
点々と木かげの苔に落ちた、仄白い桜の花を捉えた。
ただ、所々、崩れかかった、そうしてその崩れ目に長い草のはえた石段の上に、鴉の糞が、
点々と白くこびりついているのが見える。
ましてその河下にある部落には、もう燕も帰って来れば、女たちが瓶を頭に載せて、水を汲みに行く噴き井の椿も、とうに
点々と白い花を濡れ石の上に落していた。
その時、日本の五月の朝の中空には
点々、
点々、
点々、
点々。
常念、蝶ガ岳が雪を浴びた下に、平たくこんもり茂った浅川山を背後に、牧の愛らしい村が
点々と見える。
長屋の背後の二すじの連山には、茅ばかりが、かさ/\と生い茂って、昔の巨大な松の樹は、虫歯のように立ったまゝ
点々と朽ちていた。
鰯雲といふは、鰯などの群るゝ如く
点々相連りて空に瀰るものを云ふなり。
岩石で恐ろしくごつごつした不毛な島で、一群の黒い岩がその周囲に
点々として散在している。