「知らないでもありません」と医師のM氏は煙草に火を
点じて、意味ありげに、にやにや笑った。
いつの間に用意したのか、書見していた和尚は、手燭の蝋燭に火を
点じて、先に立って本堂の方へ歩いて行った。
そうしてすぐ横仆わり、先ず煙燈へ火を
点じ、それから煙千子を取り上げた。
もしその「霊魂の微笑」の蔭に、多少の悪戯を
点じたとすれば、それは冬心の化け物である。
「さて、和漢の珍器、古今の名匠の墨跡、家々の重宝共此時にあらずばいつを期すべきと、我も/\と底を
点じて出されける」
どこもかしこも、炎天のほこりを浴びたこの町の辻で、わずかに一滴の湿りを
点じたものがあるとすれば、それはこの蛇の切れ口から出た、なまぐさい腐れ水ばかりであろう。