途中で一二度引つ返さうかとまで思つた疲れたからだをも忘れて、何にか気
焔を吐いて見たい気持になつた。
書いてあるというより、字を酸水素
焔かなんかで焼きつけてあるといった方が正しいであろう。
冒険譚の行はれし十八世紀には航海の好奇心を
焔し、京伝の洒落本流行せし時は勘当帳の紙数増加せしとかや。
それを享樂しつゝ、しばらくつぶつてゐた眼を開くと、門内の前庭に
焔を洗つたやうなカンナの花瓣が思ふさまその幅廣の舌を吐いてゐた。
想うに渠が雪のごとき膚には、剳青淋漓として、悪竜
焔を吐くにあらざれば、寡なくも、その左の腕には、双枕に偕老の名や刻みたるべし。
蝋燭の
焔と炭火の熱と多人数の熱蒸と混じたる一種の温気は殆ど凝りて動かざる一間の内を、莨の煙と燈火の油煙とは更に縺れて渦巻きつつ立迷へり。
」そはユダの姿、額は嵐の空よりも黒み、眼は
焔よりも輝きつつ、王者の如く振舞ひしが故なり。