而かも私は、未だ曾てかゝる神聖
無垢な殺人犯を見た事が無い。
尤も「女」と云ふ者があると云ふ事は、漠然と知つてゐたが、わしはわしの思想が此様な題目の上に止る事を許さなかつたので、わしは全く純真
無垢な生活をつゞけて来た。
是非なく夜に紛れて我家に帰れば、こはまた不思議や、死人の両手は自然に解けて体は地に堕ち、見る見る灼々たる光輝を発して
無垢の黄金像となりけり。
私は、あの、節の細かい竹の棒を、ステッキとも杖ともつかず、
無垢な十六の手で打ち振りながら、夏の耶馬渓を遡つた。
そのことが、いかに、純情、
無垢な彼等の明朗性を損うことか分らないのみならず、真の勇気を阻止し、権力の前に卑屈な人間たらしめることになるのであります。
地上にあつて、この蒼白い苦患に取巻かれてゐるわが身は、今この
無垢の血を有つてゐる主の幼児の頸に血を吸取つてやらうと、こゝまで見張つて来たのである。
作家の中には
無垢の子供と悪魔だけが棲んでおればいい。
「若菜集」を讀む前にませて歪んだ或種の思想を擁いて居ればこそ他に
無垢なる光明世界のあるのを見ないのであらう。
白道の上を復、立籠める魂の塵屑は蟻集して衝天の勢を示し、清淨
無垢の「球」に照る清く澄みわたつた金色を威嚇してゐる。