彼は
無情冷酷な性質でありますが、自分の生命を愛する念もはなはだ強かったのであります。
怖るべき孤独のまぎらす術を失つた私は彼の
無情を憎んで、見つけ次第絞め殺してやらうといふ想念に苦しめられて弱つた。
否応いわさずに彼を寺中へ引き入れて、西廊の薄暗い一室へ連れ込むと、そこには麗卿が待ち受けていて、これも男の
無情を責めた。
彼は、ゴルゴタへひかれて行くクリストが、彼の家の戸口に立止って、暫く息を入れようとした時、
無情にも罵詈を浴せかけた上で、散々打擲を加えさえした。
さういふ自然の風光の裡で、男の傲慢な
無情な荒々しい聲と共に女の甘へるやうな頼りない聲が聞える。
「然かし、貴様、剛造の様な食慾
無情の悪党に、彼いふ令嬢の生まれると云ふのは、理解すべからざることだよ」
君自身これが染上げを扶け、君自身これを赤大根と罵る、
無情なるも亦甚しいかな。