二十五年前には今の日比谷の公園の
片隅に、昔の大名の長屋の海鼠壁や二の字窓が未だ残っていた。
そう受取るようになった店々のものは、掃除をしたあとで立つ少年を台所の
片隅に導いて食事をさせた。
(家内はもともと消極的な女で実につつましい
片隅の家庭生活の幸福だけを私に望んでいたので、所謂私の世間的な出世や華々しい成功などは寧ろ嫌っているのでありました。
あるいは観世とか金剛とかいうような能役者ではないかと、店の主人の孫十郎は鑑定していると、男は果たして店の
片隅にかけてある生成の古い仮面に眼をつけた。
だが、この広い公園の青芝に一万の人間はただの
片隅だ。
黒板の
片隅には、縮尺五千分の一の「本郡全図」が掛けられていた。
袋棚と障子との
片隅に手炉を囲みて、蜜柑を剥きつつ語ふ男の一個は、彼の横顔を恍惚と遙に見入りたりしが、遂に思堪へざらんやうに呻き出せり。
片隅へ身を寄せて、上り框のところへ手をつき乍ら、何か低い声で物を言出した時は、自分は直にその男の用事を看て取った。
唇が娘時代のように捲れ気味に、
片隅へ寄ると其処に微笑が泛ぶ。