犯行の現場にも何の手掛かりも発見されず、金庫はアセチレン吹管で破壊されておりましたが、ただ賊が外部から侵入したことだけは確かだそうであります。
だから読者には大阪の
犯行を推定する手掛りが見つからない。
犯行は労組と無関係であっても何か大きな別な組織的集団によって行われたことは考えられる。
このトリックは簡単ではあるが、それだけ現実的でもあって、犯人は
犯行が発見されたとき、鍵のかけられた密室の現場にいたのである。
そして
犯行前にたたんだのかも知れないが、こんなところも冷静だな。
「では次にもうひとつ、今から約一時間前の
犯行の推定時刻に、この下り一番線を通過した列車に就いて伺いたいのですが——」
また二つにはその方法処置が完全で、
犯行の全然判らない点もあるし、たとえ判ったにしても犯人たるの証拠が全然残されていないことにも原因するのだ。
検屍の結果、他殺暴行の形跡があり、
犯行後四日を経ていると判明した。