もっとも妹に怒られることは必ずしも
珍らしい出来事ではなかった。
女はさも
珍らしそうに聖水盤や祈祷机を見ながら、怯ず怯ず堂の奥へ歩み寄った。
露柴も、——露柴は土地っ子だから、何も
珍らしくはないらしかった。
が、同時にまたその顔には、貴族階級には
珍らしい、心の底にある苦労の反映が、もの思わしげな陰影を落していた。
地主や、醤油屋の坊っちゃん達なら、東京の大学へ入っても、当然で、何も
珍らしいことはない。
この倶楽部が未だ繁盛していた頃のことである、或年の冬の夜、
珍らしくも二階の食堂に燈火が点いていて、時々高く笑う声が外面に漏れていた。
とうに電燈のついた客車の中には、
珍らしく私の外に一人も乗客はゐなかつた。
「いくさ」の空気の漂つた、人気のない家の台所に短銃をいぢつてゐる一人の乞食——それは確に小説じみた、物
珍らしい光景に違ひなかつた。
夫婦は燈つけんともせず薄暗き中に団扇もて蚊やりつつ語れり、教師を見て、
珍らしやと坐を譲りつ。