斉しく温州蜜柑を以てこれに接木したならば、ことごとく温州蜜柑の
甘美な果実を結ぶ。
まして、月が波の上に出るのを待つて、ロマンスの一節を口吟むほど
甘美なリヽシズムをも持ち合せてゐない私なのですから。
菊池寛の「新道」にも雷雨を縁として男女の交会するところを写してゐるが、これには武道伝来記にあるやうな滑稽が無くて、従つて
甘美で、悲劇に導くやうなことがない。
死は罰なり、然り、罰なり、然れども世間の罰にして斯の如く
甘美なる罰ありや。
つぼみが春の風にさすられて、少しづつ開かんとする感傷的な少年の胸には、この
甘美な抒情詩のような美しい恋物語りが、まるで優しく胸をふくらましてくれたのである。
それから私の空想のなかへは、墓のなかにはさぞ
甘美な休息があるにちがいないという考えが、美しい音楽の調べのように、しのびこんできた。