それで、主人から不義をい
い立てられて切りつけられた時、あり合せた燭台を、早速の獲物として主人の鋭い太刀先を避けていた。
思
い立った訣はなぜかというと、彼はお爺さんやお婆さんのように、山だの川だの畑だのへ仕事に出るのがいやだったせいである。
と申すはこの頃ふとここへ参って、予も人並に双紙を一つ綴ろうと思
い立ったが、つらつら独り考えて見れば、生憎予はこれと云うて、筆にするほどの話も知らぬ。
両国の野天講釈や祭文で聞きおぼえた宮本無三四や岩見重太郎や、それらの武勇譚が彼の若い血を燃やして、清水山の妖怪探索を思
い立たせた。
沢庵を洗
い立てたるように色揚げしたる編片の古帽子の下より、奴は猿眼を晃かして、
色の淺黒い、輪廓の正し
い立派な男、酒を飮めば必ず歌ふ、飮ざるも亦た唄ひながら働くといふ至極元氣の可い男であつた。
色の浅黒い、輪郭の正し
い立派な男、酒を飲めば必ず歌う、飲まざるもまた歌いながら働くという至極元気のよい男であった。
美々しく銀モールで刺繍をした赤
い立襟や佩剣などが、もう眼の前にちらついて……彼は全身ブルブルとふるえだした。