その後は何かの
用があったりして、ちょいちょい訪ねて行くこともあったが、何時でも用談だけで帰ったことがない。
「
用がないからゆけよ、おれはここで八百屋の豊公を待っているんだ、あいつおれの犬に石をほうりやがったからここでいもをぶんどってやるんだ」
用があって呼んだのではない、あまりの寂しさに堪えかねて、ただ訳もなしに人を呼んだのである。
それはまた、両蓋の金時計を幾度も出して見る男——
用が無くても船員に話しかける男——誰にでも飯が食へるかと訊ねる男。
そしてさんざん自分のそばにおいて使って、
用がなくなると食べてしまいました。
それで信吾は、格別の
用があつたでもなかつたが、案外温しく歸ることになつたのだ。
もっとも、松本へ
用があって立ち寄ったのだと言えば、それまででざっと済む。
「そう、あの局の帰りに来ると宜んだけど、家に急ぐ
用が有ったもんだから……」