「しかし、まだほかに、鼻を切られた者があったかも知れ
申さぬ。
大なること小牛のごとく、猛きこと熊も狼も及び
申さぬ。
人の話すのを聞きますと、あなたは鷲よりも年をとつてゐらつしやると
申すではございませんか。
狸を殺してはいけないちうことは知っているけれど、貉を殺してはならぬちうことは知り
申さぬ。
いや、嘗つては、長崎の町にはびこつた、恐しい熱病にとりつかれて、七日七夜の間、道ばたに伏しまろんでは、苦み悶えたとも
申す事でござる。
然るに人質に出で候はん人、一人も無之候へば、出し
申すことなるまじくなどとは一も二もなき喧嘩腰にて、側杖を打たるるわたくしどもこそ迷惑千万に存じ候。
藥指は此家の娘、身輕な小意氣なヅエルビイヌ、奧樣がたへは笹縁のれいすも賣るが、殿御に媚は賣り
申さぬ。