目をつむって、耳を圧えて、
発車を待つのが、三分、五分、十分十五分——やや三十分過ぎて、やがて、駅員にその不通の通達を聞いた時は!
元来呑気な連中の事とて、
発車時間表もよくは調べず、誰言うとなく十時に極めておったのだ、とにかく約二時間待たねばならぬ。
「午前六時三十分上野停車場前集合、同五十分
発車……」こう云う箇条が、学校から渡す謄写版の刷物に書いてある。
技手は手袋を嵌めた両手を、自動車の柁機に掛けて、真つ直ぐに馭者台に坐つて、
発車の用意をして待つてゐる。
閑な線で、
発車するまでの間を、車掌がその辺の子供と巫山戯ていたり、ポールの向きを変えるのに子供達が引張らせてもらったりなどしている。
明日帰る時の用意に
発車時間を見て置くのと、直江津なる友人へ急用の端書を出すためである。
新橋を渡る時、
発車を知らせる二番目の鈴が、霧とまではいえない九月の朝の、煙った空気に包まれて聞こえて来た。