私の終戦後の作品のうち「外套と青空」「
白痴」以後の今日までの短篇の大部分をまとめたものです。
又、どんな恐ろしい罪人でも、又は
白痴や、病人でも、生れた儘の本當に美しい純粹なところを持つて居る。
と、とうとう兜を脱いで降参しましたとわ、身のほど知らぬ大
白痴。
「紙!」「紙!」浦子は便所へ入つて戸を開けたまま未来の夫を呼んで落し紙を持つて来させるやうな
白痴振りを平気でした。
耳の垂れた尻尾を下げた瞳の碧い毛唐の犬がやつて来てから、地犬々々と俺の同類を
白痴にするが、憚りながら神州の倭魂を伝へた純粋のお犬様だ。
——一人に二人分の性格が出来ると同時に、他の一人は
白痴になつてしまふ。
袴をはいていると
白痴の馬に乗っているのと同じで、腰から下は自分のものではないような気がする。