四隣大別荘にかこまれた一軒家、深山のように閑静には相違ないが、
目当の家は炭焼小屋に毛の生えたような小さな家。
京都といふところは、二三日の慌ただしい見物でなかつたら、乗物に乗らず、
目当のない散歩のつもりで、足の向くままぶらぶら歩くに限るのである。
ヒロシの報せの言葉が穏やかなせゐか激動は覚えなかつたが、夏川の心は顛倒して、とつさに
目当もつかないやうだ。
「いや、見失ってはならぬぞ、あの、緑青色した鳶が
目当じゃ。
わたしは何もこの家を
目当に、うろついていたのではないのですが、ちょうどそこへ来合わせたのを幸い、一稼ぎする気を起しました。