のみならず、このやうな「嘘」が果して決定的に嘘であり贋物であるか、その
研討をまつたく無視して、甚だ軽率に否定しがちなことを悲しむ。
イプセンの思想を論じ、チエホフの手法を
研め、マアテルランクの情調を云々するだけが、近代劇の
研究だと思つたら大間違ひである。
我々がもしも映画の綜合するあらゆる部門にわたつて準専門家なみの
研鑚を積まなければならぬとしたら、少なく見積つても修業期間に二百年位はかかるのである。
この意味においては、書物とは見ざるを見、味わわざるを味わい、
研めざるを知得するためにあるものである。