百合、撫子などの造花に、
碧紫の電燈が燦然と輝いて——いらっしゃい——受附でも出張っている事、と心得違いをしていたので。
お米と十吉とは南向きの縁に仲よく肩をならべて、なんにも言わずに
碧い空をうっとりと見あげていた。
それに反して紫の山となると、
碧い空との区別が朦朧としてしまう。
痕を残さない、濃さと淡さの
碧が、谷から舞い上る霧のほむらに、ぬらりと光る。
耳の垂れた尻尾を下げた瞳の
碧い毛唐の犬がやつて来てから、地犬々々と俺の同類を白痴にするが、憚りながら神州の倭魂を伝へた純粋のお犬様だ。
窓越しに見る雪の海、深
碧の面が際限もなく皺立つて、車輛を洗ふかと許り岸辺の岩に砕くる波の徂徠、
碧い海の声の白さは降る雪よりも美しい。
博雅の君子亦「鏡花全集」を得て後、先生が日光晶徹の文、哀歓双双人生を照らして、春水欄前に虚
碧を漾はせ、春水雲外に乱青を畳める未曾有の壮観を恣にす可し。
碧に煌めく桐の葉の半分と、蒼々無際限の大空が見える。
……濃き薄き、もみぢの中を、霧の隙を、次第に月の光が添つて、雲に吸はるゝが如く、眞蒼な空の下に常磐木の
碧きがあれば、其處に、すつと浮立つて、音もなく玉散す。