しかしこう霧が降りていては、連絡をとるのに
稍困難を覚えた。
阿闍梨は、身を
稍後へすべらせながら眸を凝らして、じっとその翁を見た。
板倉修理は、病後の疲労が
稍恢復すると同時に、はげしい神経衰弱に襲われた。
南鯱は雌でその高さ八尺三寸五分と註され、北鯱は雄で、
稍大きく、高さ八尺五寸あった。
本篇一四頁上段に曰く「先に友の勧めしときは大臣の信用は屋上の禽の如くなりしが今は
稍やこれを得たるかと思はるゝ云々」と。
日本語に之を重訳して罪過と謂ふは
稍々穏当ならざるが如しと雖も、世にアイデアル、リアルを訳して理想的、実写的とさへ言ふことあれば、是れ亦差して咎むべきにあらず。
源太郎は年の故で
稍曲つた太い腰をヨタ/\させながら、銀場の横の狭い通り口へ一杯になつて、角帯の小さな結び目を見せつゝ、背後の三畳へ入つた。
馬琴滝沢瑣吉は、微笑しながら、
稍皮肉にかう答へた。
が、裏の物干臺の上に枝を張つてゐる隣家の庭の木蓮の堅い蕾は
稍色づきかけても、彼等の落着く家とては容易に見つかりさうもなかつた。
「……郊外に居を移してから僕の宗教的情調は
稍深くなって来た。