山の湯宿の夜といふものは、何かみじめらしい
穢さを感じるものだが、こゝは、一向さつぱりと静まつて居る。
女房がいう通り、市商人は碌々に後片付けをして行かないとみえて、そこらにはしおれた鼠尾草や、破れた蓮の葉などが
穢ならしく散っていた。
血まみれになって働く
穢さよりも、あの無邪気な生き物を殺すのが厭だった。
かの
穢を祓ひ縁喜を祝ふたぐひの言葉とその系統に於て異るところがあらうとは見られないからである。
と、困難の修行の旅が老齢の彼を弱らせてたものか、我破と縁先へ転って、口から夥しく
穢物を吐いた。
悪魔の魅力を仮用して高潔なる舞台を濁
穢する泰西作家の妙腕は、即ち馬琴が八房の中にあり。
何處からともなく吹きまくつて來る一陣の呵責の暴風に胴震ひを覺えるのも瞬間、自らの折檻につゞくものは
穢惡な凡情に走せ使はれて安時ない無明の長夜だ。
何の家も、何の家も、古びて、
穢なくて、壁が落ちて、柱が歪んで、隣々に倒り合つて辛々支へてる樣に見える。
職員室には、十人許りの男女——何れも
穢ない扮裝をした百姓達が、物に怖えた樣にキョロ／＼してゐる尋常科の新入生を、一人づゝ伴れて來てゐた。
