小草が数本に、その一本を伝わって倒に這降りる蟻に、去年の枯草のこれが
筐とも見える芥一摘みほど——これが其時の眼中の小天地さ。
この一作は、実は、処女作と銘うつためにはあまりに非野心的であり、寧ろ、試作として
筐底に蔵さるべきものであつたかもしれない。
止むをえず古い手
筐をひきあけて調べてみたが、その時分のものでは葉書が二三枚出たまでゝあつた。
と女性の無邪氣なる輕薄を笑ひ、更に一旦與へたる財貨を少娘の
筐中より奪ひて酒亭一塲の醉夢に附するの條を説かしめ遂に再び免職になりし事を言ひ、
しかも猶彼等の或ものは水上君を御兄様を称し、又彼等の或ものは水上君の写真など(!)を
筐底に秘めたがつてゐるのである。