なぜなら女というものは泥棒だか人殺しだか分らぬような男とよりは、人に
素性の語り明かせる男と結婚したがるのが当然だと考えたせいだ。
僕のような
素性の悪い負けきらいは、勝負そのものでなしに、相手の人柄に闘志をもやすので、つまり僕と尾崎が、好敵手なのもそのせいだ。
石、殆ど石から出来上つて居るこの島、大変
素性のよい石に富んで居るこの島、……こんな事が私には妙に、たまらなく嬉しいのであります。
栗栖按吉という場違い者を除いてみると、あとはみんな
素性の正しい坊主であった。
譯者は今の日本詩壇に對て、專ら之に則れと云ふ者にあらず、
素性の然らしむる所か、譯者の同情は寧ろ高踏派の上に在り、はたまたダンヌンチオ、オオバネルの詩に注げり。
紺の飛白に書生下駄をつっかけた青年に対して、
素性が知れぬほど顔にも姿にも複雑な表情をたたえたこの女性の対照は、幼い少女の注意をすらひかずにはおかなかった。
そう応えながら女中は、昨晩おそく着いて来た、ちょっと得体の知れないこの美しい婦人の
素性を探ろうとするように注意深い目をやった。
美人の親は香峰の貧なるを嫌ひ、香峰の親は美人の
素性の賤しきを嫌ひて、良縁あはや破れむとす。