僕は、まだ無
経験だつたので、さう云ふ事は、まるで知りませんでしたが、軍艦では贓品が出ても、犯人の出ないと云ふ事が、時々あるのださうです。
けれども生れつき臆病ではにかみやの私は、そのような
経験をなにひとつ持たなかった。
それは従来の
経験によると、たいてい嗅覚の刺戟から聯想を生ずる結果らしい。
しかし彼の
経験によれば、子供でも悪党のない訣ではない。
これはほとんど病苦と云うものの
経験のない、赭ら顔の大男で、文武の両道に秀でている点では、家中の侍で、彼の右に出るものは、幾人もない。
反対の気持になった
経験というのは、窓のなかにいる人間を見ていてその人達がなにかはかない運命を持ってこの浮世に生きている。
以前自分はよく野原などでこんな気持を
経験したことがある。
この感情を思い浮かべるためには、われわれが都会で
経験する停電を思い出してみればいい。
しかし十年間の僕の
経験は僕に近い人々の僕に近い境遇にゐない限り、僕の言葉は風の中の歌のやうに消えることを教へてゐる。
彼の半生の
経験は、——いや、そんなことはどうでもよい。