お村も少しくなる口なるに、其夜は心爽
ぎ、興も亦深かりければ、飲過して太く酔ひぬ。
いつも変らぬことながら、お通は追懐の涙を灌
ぎ、花を手向けて香を燻じ、いますが如く斉眉きて一時余も物語りて、帰宅の道は暗うなりぬ。
舞い姫たちは二人を軽々と舁
ぎ上げたまま、梯子段をだんだん上に昇って行きます。
みるまに山
ぎは、はなれて中空にあがる、いつしか星のかげうせぬ。
さきにはむすびて手を洗ひし、青薄茂きが中の、山の井の水を汲みて、釣瓶を百合の葉にそゝ
ぎ、これせめてものぬれ事師。
前日の夕方から始まった烈風交りの霙が、夜半頃に風が柔ら
ぎ、今ではまったく降りやんだのであるが、依然厚い雪雲の層に遮られて、空のどこにも光がない。
香もなく花も貧しいの
ぎ蘭がそのところどころに生えているばかりで、杉の根方はどこも暗く湿っぽかった。
圭一郎は立つて行つた、それを女中の手から奪ふやうにして※
ぎ取つた。
此書や先生の人物思想、本領を併せ得て十二分に活躍せしめて居るのみならず、寸鉄人を殺すの警句、冷罵、骨を刺すの妙語、紙上に相踵
ぎ、殆ど応接に遑まあらぬのである。