先生のお家は麹町の屋敷町の中に
置き忘れられたやうな古いちひさい家で、八畳二間と玄関の三畳、それに二畳の板の間がお座敷の西側にあつて水屋に使はれてゐた。
大洋のなかに
置き忘れられたやうなアラン島を有名にしたその映画はすばらしかつたが、それよりも前にアラン島を紹介した人を忘れてはすまない。
遠目には、磯の岩かと思はれる家の屋根が、一かたまりづゝぽっつりと
置き忘れられてゐる。
事代主神はうろたへて、小舟に乗ることは乗つたが、櫂は岸に
置き忘れて来た。
また、大学病院の建物も橋のたもとの附属建築物だけは、
置き忘れられたようにうら淋しい。
お民が隠れて居る所から一丁半も向うの此の屋敷町が直角に曲る所に、赤塗りポストの円筒が、閑静な四辺に
置き忘れられたように立って居る。
青は、この若い馬を見ることで、過去の記憶の中に
置き忘れて来た感覚の幾分かを、そこに取り戻して来るような様子だった。
また、太郎さんが使って、どこかへ
置き忘れたのでしょう。
いつの間にか雲一ひらもなく澄みわたった空の高みに、細々とした新月が、
置き忘れられた光のように冴えていた。