内省とか
羞恥とか、いはば道徳的観念とでも呼ばれるものに余程標準の狂つたところがあつて、突拍子もない表出には莫迦だか悧口だか一見見当もつかなかつた。
空襲の激化につれて一皮々々本性がむかれてきて、しまひには
羞恥もなくハッキリそれを言ひきるやうになり、彼等の目附は変にギラ/\して悪魔的になつてきた。
取出でていうほどの奇はないが、二葉亭の一生を貫徹した潔癖、俗にいう気難かし屋の気象と天才肌の「シャイ」、俗にいう
羞恥み屋の面影が児供の時から仄見えておる。
そこでは、
羞恥は美徳にあらず、アヴンチュウルは犯罪と見做されるであらう。
われは恐れと
羞恥とに、泣かむとせしも、辛うじて涙かくしぬ。
というたその口元に、妙に処女のやうな
羞恥がもれた。
自分の爲事を人の前に言へぬといふ事は、私には憤懣と、それよりも多くの
羞恥の念とを與へた。
胸から下の肢体は感触を失ったかと思うほどこわばって、その存在を思う事にすら、消え入るばかりの
羞恥を覚えた。