「ねえ国枝君、松竹を出るのは
考えものだよ、松竹は今でも大したものだが、将来はもっと大したものになるのだから、わがままを起こさずに辛棒したらどうかね」
偉人や金持になることも、ちょっとどうも
考えものらしい。
「けれども、その為に軍備縮少は
考えものだなんて云う議論は駄目ですよ。
新しい筍を煮るのに、醤油、砂糖でできた汁を筍の肉深く滲み込ませるのは
考えものである。
ただ、この頼りない希望のために、この安全なすみかを捨ててゆくということが
考えものなのだ。
むやみに歩き廻って腹ばかり虚かせるのも
考えものだ。
それはカッフェと云う名を与えるのも
考えものに近いカッフェだった。