貪婪な情慾を貧弱な体質で表はさうとする
肉慾の図に嘔吐を催しさうになるといふ感じ方は、一見潔癖な精神を思はせるやうであるが、事実は全くさうでない。
二十七の小柄な敏捷な身体に
肉慾をそゝる情感は豊かであつたが、概していへば平凡の一語につきるあたりまへの女である。
男と女とのこの宿命のつながり、
肉慾と魂の宿命、つながり、葛藤は、かく安直に風景に通じ風景に結び得るものではない。
あなたは病みつかれ、然し、
肉慾のかたまりで、遊びがいのちの火であつた。
娼妓といふ生活からの習性もあらうが、性質が本来頭ぬけて淫奔なので、
肉慾も食慾も同じやうな状態で、喉の乾きを医すやうに違つた男の肌をもとめる。
かゝる
肉慾の場に於ても、娼婦型の偉大なる者はエゴイストではないのである。
落ちぶれはてた魂を嗅ぎ分けて煙のように忍びよる妖怪じみた厭らしさに、身ぶるいしたが、まさしく妖怪の見破る通り、酒と
肉慾の取引に敗北せざるを得なかった。