肋骨や手足の関節が目立つて目に泌みるその不健康な裸体を見てゐると、まるで痩衰へた河鹿が岩にしみついてゐるやうにしか思へないのであつた。
翌る夜は頭を、翌る夜は踵を、又翌る夜は齲歯を、目を、
肋骨を、肩を、耳を。
検死のために露出された胸部には、同じ様な土色の蚯蚓腫れが怪しく斜に横たわり、その怪線に沿う左胸部の
肋骨の一本は、無惨にもヘシ折られていた。
あなたは、左の胸の、何番目と何番目の
肋骨の間に、心臓があるとは云はない。
少くとも味方は、赤い筋のはいった軍帽と、やはり赤い
肋骨のある軍服とが見えると同時に、誰からともなく一度に軍刀をひき抜いて、咄嗟に馬の頭をその方へ立て直した。
卒は黄の
肋骨のついた軍服でズボンには黄の筋が入ってあり、士官は胸に黒い
肋骨のある軍服でズボンには赤い筋が入っている。
胸に湧出る汗は
肋骨の間を伝つてチヨロリ/\と背の方へ落ちて行つた。
「やい、おのれは、千曲川の河童にしゃぶられて、余った
肋骨は、鬼の爪楊子になりよるわい」
射手たちはこのひッきりなしに襲ってくる水攻めに絶えず身をかがめ、犬も悲しげに尾を垂れて、
肋骨のうえに毛をぺッたりくッつけていた。