身毒は、細面に、女のやうな柔らかな眉で、口は少し大きいが、赤い
脣から漏れる歯は、貝殻のやうに美しかつた。
それに続いて、慎ましい
脣、高くはないけれども穏やかな品のいゝ鼻。
その四、五人の人達は、どれもこれも、薄い削いだような
脣をしていて、話の些中には、極まって眉根を寄せ、苦い後口を覚えたような顔になるのが常であった。
脣の色少しく褪せたるに、玉のごとき前歯かすかに見え、眼は固く閉ざしたるが、眉は思いなしか顰みて見られつ。
さうしたら、鼻の尖つた、眼張りの強い、
脣をへの字に曲げてゐる顔が、うす暗い雲母摺を後にして、愈気味悪く浮き上るだらう。
脣の色が黒んでいたり、顔色が変わっていたりする以外に、どこかちがっているところがある。