とりわけ男の頭へ沢山に散りかかって居る
花片の間からところどころ延びた散髪に交って立つ太い銀色の白髪が午後の春陽に光って見えるのでありました。
留南奇の薫馥郁として、振を溢るる縮緬も、緋桃の燃ゆる春ならず、夕焼ながら芙蓉の
花片、水に冷く映るかと、寂しらしく、独り悄れて彳んだ、一人の麗人あり。
またそれ蠅は厭ふべし、然れどもこれを
花片の場合と仮定せよ「木の下は汁も鱠も桜かな」食物を犯すは同一きも美なるが故に春興たり。
昌黎色を勵まして叱つて曰く、此の如きは、そも/\如何なる事ぞと、奪つて是を見れば、其の品有平糖の缺の如くにして、あらず、美しき桃の
花片なり。
時鳥の矢信、さゝ蟹の緋縅こそ、血と紅の色には出づれ、世は只暗夜と侘しきに、烈日忽ち火の如く、窓を放ち襖を排ける夕、紫陽花の花の
花片一枚づゝ、雲に星に映る折よ。
喜平橋にいたりて、渇を覺ゆるまゝに、吹き亂れたる櫻樹の下の茶店に休息し、酒にうけし
花片を、茶にうけて飮むも、いとをかし。