一方は生れながら暗い運命を背負って、
荊棘の道を辿らねばならぬ貧しい私生児。
彼等の道は
荊棘と痛苦にみたされてゐるが、究極に於て彼等は「勝つ性格」にある。
泥濘は、
荊棘、蔦葛とともに、次第に深くなり、絶えず踊るような足取りで蟻を避けながら、腰までももぐる野象の足跡に落ちこむ。
斯うしてたうとう
荊棘の道を踏み分け他を凌駕して私は偏屈な室長と無二の仲好しになつた。
杣の入るべき方とばかり、わずかに
荊棘の露を払うて、ありのままにしつらいたる路を登り行けば、松と楓樹の枝打ち交わしたる半腹に、見るから清らなる東屋あり。
世はかくまでに寛容なり、殊に識らず、抒情詩人の背にははやく既に
荊棘を負はされしにあらじをや。
坦々たる古道の盡くるあたり、
荊棘路を塞ぎたる原野に對て、之が開拓を勤むる勇猛の徒を貶す者は怯に非らずむば惰なり。
坦々たる古道の尽くるあたり、
荊棘路を塞ぎたる原野に対て、これが開拓を勤むる勇猛の徒を貶す者は怯に非らずむば惰なり。