媼は見返りもしないで、真向正面に渺々たる
荒野を控へ、
外は真の闇で、窓の代りにあけてある壁の穴から
荒野の夜の聞き慣れないひびきが伝わって来た。
伝へ聞く聖約翰は
荒野の蝗虫を食にされたとか、それなら余程食べずばなるまい。
如此にして二十年前の肥田沃土は、今や化して黄茅白葦満目惨憺の
荒野となれり」
是よりの戦争は人種の戦争尤も多かるべく、塵戦又た塵戦、都市を
荒野に変ずるまでは止まじと某政治家は言へり。
まだ小學校に上つて間もない時分、年上の惡少にそそのかされて、春の末、
荒野の岡に行つた。
ガリレヤに、弟ピリポ、イツリヤとトラコニチスとに、リサニヤスはアビレナに分封の王たりし世、
荒野のヨハネに御言葉の降りし時の如し。
旅馴れた身は野宿の覺悟で、幽に黒雲の如き低い山が四方を包んだ、灰のやうな渺茫たる
荒野を足にまかせて辿ること二里ばかり。