ようやく最初のショックから恢復した私は、その男がこう弁じ立てている間に、始めて
落着いて相手を観察した。
本多子爵はわざと眼を外らせながら、私の気をかねるように、
落着かない調子でこう云った。
団子坂で外国人らの馬をぬすんだ一件は、馬丁平吉の召し捕りによってひと先ず
落着したが、その関係者の一人たる蟹のお角は早くも姿をくらまして、ゆくえ不明となった。
つまり先方の意見に対して、その通りとか、再吟味とか、あるいは奉行所の意見を書き加えてやるとかするので、それに因って初めて代官所の裁判が
落着するんです。
——こう思った煙客翁は、もう一刻も西園の書房に、じっとしていることはできないような、
落着かない気もちになっていたのです。
それ程彼女の胸の中には、愉快なる不安とでも形容すべき、一種の
落着かない心もちが根を張つてゐたのであつた。
それも寂しすぎると云ふだけなら、何処か古い画巻じみた、上品な所がある筈だが、寂しい癖に薄情らしい、妙に
落着いた所があるのは、どう考へても頼もしくない。
僕達は先生と一緒に弁当をたべましたが、その楽しみな弁当の最中でも僕の心はなんだか
落着かないで、その日の空とはうらはらに暗かったのです。