打麦場を囲んでゐる麻や黍も、青い
葉を日に光らせて、ひつそりかんと静まつてゐる。
しかし僕は桟橋の向うに、——枝のつまった
葉柳の下に一人の支那美人を発見した。
彼等のある一団は炎暑を重く支えている薔薇の
葉の上にひしめき合った。
さしてもまた大抵は、風に戦いでいる椎の
葉が、朦朧たる影を書物の上へ落すか落さない内に消えてしまった。
第一、莨盆の蒔絵などが、黒地に金の唐草を這わせていると、その細い蔓や
葉がどうも気になって仕方がない。
廊下へ出て、黄いろい
葉を垂らした庭の樹木を見下してゐると、豊田実君が来て、「ちよいとノオトを見せてくれ給へ」と云つた。
たとへば本文の書きざまにはかう云ふ言
葉を洩らしてゐる。
もっとも時々霧の中から太い毛生欅や樅の枝が青あおと
葉を垂らしたのも見えなかったわけではありません。
青山の斎場へ行ったら、靄がまったく晴れて、
葉のない桜のこずえにもう朝日がさしていた。