これはきっと僕に何かおかしいところがあったのに違いないと思って、僕もすっかり照れて、ふと手の
葉巻を見ると火が消えていた。
その他、停車場特有の貨物の匂、燻らす
葉巻、ふくらかな羽毛襟巻、強烈な香水、それらの凡てが私の疲れきつた官能にフレツシユな刺戟を与へたことは無論である。
私が夢から醒めきらぬような顔付をしているとて、にやにや笑ったが、愛想よく食後の
葉巻煙草などをすすめて呉れた。
重吉はこの茶の間へはいると、洋服を和服に着換えた上、楽々と長火鉢の前に坐り、安い
葉巻を吹かしたり、今年やっと小学校にはいった一人息子の武夫をからかったりした。
戸が今西の後にしまった後、陳は灰皿に
葉巻を捨てて、机の上の封書を取上げた。
ミスラ君は自分も
葉巻へ火をつけると、にやにや笑いながら、※の好い煙を吐いて、
彼は今でも籐椅子により、一本の
葉巻を楽しみながら、彼の青年時代を思ひ出してゐる、人間的に、恐らくは余りに人間的に。
車の上に声して行過ぎし跡には、
葉巻の吸殻の捨てたるが赤く見えて煙れり。
その時彼は
葉巻を啣へて、洋服の膝に軽々と小さな金花を抱いてゐたが、ふと壁の上の十字架を見ると、不審らしい顔をしながら、
おれは徐に踵を返して、火の消えた
葉巻を啣へながら、寂しい篠懸の間の路を元来た方へ歩き出した。