眼に見えるようなは其而已でなく、其時ふッと気が付くと、森の殆ど出端の
蓊鬱と生茂った山査子の中に、居るわい、敵が。
その上不思議な事にこの画家は、
蓊鬱たる草木を描きながら、一刷毛も緑の色を使っていない。
昼見るといつも天主閣は、
蓊鬱とした松の間に三層の白壁を畳みながら、その反り返った家根の空へ無数の鴉をばら撒いている。
その上不思議な事にこの画家は、
蓊鬱たる草木を描きながら、一刷毛も緑の色を使っていない。
富士形をした如法寺山の、斧鉞を知らぬ
蓊鬱な松林を中心にして、諸山諸水の配置は、正に米点の山水である。