夕暮になると、件の松蘿や、
蔓は大蜘蛛の巣に化けて、おだまきの糸の中に、自分たちを葬るに違いない。
一本の草よりも一すじの
蔓草、——しかもその
蔓草は幾すじも
蔓を伸ばしているかも知れない。
第一、莨盆の蒔絵などが、黒地に金の唐草を這わせていると、その細い
蔓や葉がどうも気になって仕方がない。
だが、朝顔ももういけねえ、この通り
蔓が伸びてしまった」
「こんな腐った髪の毛のような
蔓からも、やっぱり春になると、ちゃんと芽を出すのね」
その中の一つの琺瑯質の壁に蔦の
蔓が張り付いている三階建の、多少住み古した跡はあるが、間に合せ建ではないそのポーチに小さく貸間ありと紙札が貼ってあった。
だが、小作料のことから、田畑は昨秋、収穫をしたきりで耕されず、雑草が
蔓るまゝに放任されていた。
西手な畑には、とうもろこしの穂が立ち並びつつ、実がかさなり合ってついている、南瓜の
蔓が畑の外まではい出し、とうもろこしにもはいついて花がさかんに咲いてる。
或温泉にゐる母から息子へ人伝てに届けたもの、——桜の実、笹餅、土瓶へ入れた河鹿が十六匹、それから土瓶の
蔓に結びつけた走り書きの手紙が一本。