渋々捨てて、新しきを、また別なるを、更に幾度か挽いたれど、鋸につきたる炭の粉の、其都度雪を汚しつつ、はや残り少なに成りて、笹の葉に
蔽はれぬ。
やつと気のついた栗の木はスレヱトの屋根に押されたまま、斜めにピアノを
蔽つてゐた。
その梢より根に至るまで、枝も、葉も、幹も、すべて青き色の毛布にて
蔽ひ包みて、見上ぐるばかり巨大なる象の形に拵へ候。
早朝から濃い灰色の雲が空を
蔽つてゐて、空気が湿つぽく、風が吹いてゐる。
全部が
蔽れなければそれを肩書にする必要はありますまい。
と思ふと又枝蛙の声が、蔦葛に
蔽はれた木々の梢から、一つ一つかすかな星を呼びさました覚えもあつた。
砂利と落葉とを踏んで玄関へ来ると、これも亦古ぼけた格子戸の外は、壁と云はず壁板と云はず、悉く蔦に
蔽はれてゐる。
千登世は兩手を彼の肩にかけたまゝ、亂れ髮に
蔽はれた蒼白い瓜實顏を胸のあたりに押當てて、※りあげた。
猶子先づ屏風を借り得て、庭に牡丹叢を
蔽ひ、人の窺ふことを許さず。