枝さきに一ぱいに
蕾をつけてゐる中に、半開から八分咲きの輪も混つてゐた。
彼のそういう態度は、花はもう散ろうとしているのに、その花を
蕾として認めているようなものであった。
「ミツ豆? ミツ豆はどうかと思うナ」(あわれ吾が薔薇の
蕾よ)——
今見たいにこんなにデクデク肥っちゃいませんが、中肉中背という奴で頬っぺたも赤くて、桜の
蕾かなんぞのように少しふくらんでいましたよ。
十月の半ばになったある朝、人々は、庭前の梅や桜が時ならぬ
蕾を持っているのを見た。
この五隻の○号潜水艦が、横須賀軍港を出たのは、桜の
蕾がほころびそうな昭和○年四月初めでありました。
が、両大師前にある木などは曇天を透かせた枝々に赤い
蕾を綴っている。
それもちぢれて
蕾の巻いた尖りは喪はれ、香ひのみか色までが揉みくちやだ。
が、裏の物干臺の上に枝を張つてゐる隣家の庭の木蓮の堅い
蕾は稍色づきかけても、彼等の落着く家とては容易に見つかりさうもなかつた。