浜で偶然言葉を交した漁師の小舟で、やがて私は海へ
薄明が落ちかけるまでぐぢを釣つてゐたのです。
退屈してぼんやり見おろした
薄明の街で、丁度暮方の灯が朦朧と光りはぢめたのだ。
蒼味を帯びた
薄明が幾個ともなく汚点のように地を這って、大きな星は薄くなる、小さいのは全く消えて了う。
心得のある老紳士はそっと彼女に背を向け中庭の
薄明が室内の電燈と中和する水色の窓硝子に疲れた眼を休ませる。
陰気な寺の中の
薄明が怒の行動に抑制を加へたと見えて、しばらく額に手を当ててゐたが、僕は静かに行つて床上におとされた自分の帽子を取つて来た。
「光と闇と交錯していちじるき明暗や色彩を生むとき、誰か好みてその
薄明の中を徨彷はざるものありや」と、若々しき心に於いて「朧」を註するものである。
それは、明けきらない
薄明のなかで、妖しい夢幻のように見えた。
たゞ薄闇の中を、前途の
薄明を頼りにして、必死に辿るより外には、仕様がなかった。