いととほき花桐の香のそことなく
おとづれくるをいかにせましや
「ウムそれではひどいこっちは
おとよさんの事かい、ウム」
枯枝の間にかゝれる比、はるか、へだたりて、氷はりたる地づらを、高履はきて、
おとたて歩む聞ゆるいとものかなし。
町全体がかもし出す雑然としたもの
おとが、高くはないがどこか明るいひびきをもって、さかんな活動の一歩手前にある人間の動きを示していた。
初夏と共に私の病室を
おとづれる元気な訪問客はジガ蜂である。
「
おとなしに、何でも貰うて食うて行け!」暫らくばあさんは、猫を胸にくっ著けて抱いていたが向うから空俥が見えだすと、ついに道の中に捨てて、丘の方へ引っかえした。
尼僧の
おとづれてくるやうに思はれて、なんとも言ひやうのない寂しさ いらだたしさに張りもなくだらける。