孫七の家には大きな囲炉
裡に「お伽の焚き物」の火が燃えさかっている。
庫
裡には釜をかけた囲炉
裡の側に、勇之助が蜜柑を剥いている。
さすれば内
裡の内外ばかりうろついて居る予などには、思いもよらぬ逸事奇聞が、舟にも載せ車にも積むほど、四方から集って参るに相違あるまい。
——暗のなかに仄白く浮かんだ家の額は、そうした彼の視野のなかで、消えてゆき現われて来、喬は心の
裡に定かならぬ想念のまた過ぎてゆくのを感じた。
それはごくほのかな気持ではあったが、風に吹かれている草などを見つめているうちに、いつか自分の
裡にもちょうどその草の葉のように揺れているもののあるのを感じる。
そして
裡に住むべきところをなくした魂は、常に外界へ逃れよう逃れようと焦慮っていた。
日本橋呉服町に在る宏壮な建築物の二階で、堆く積んだ簿書の
裡に身を埋めながら、相川は前途のことを案じ煩った。
寂漠たる山色月影の
裡に浮んで恰も畫のやうに見えるのである。
五軒目には人が住んでいたがうごめく人影の間に囲炉
裡の根粗朶がちょろちょろと燃えるのが見えるだけだった。
が、夫人から、金銭の贈与を受ける事だけは、もう今度でおしまいにしたいと、心の
裡で思った。