そのうちに、臭いを気にする連中が、あとからあとへと起きてきて、てんでに廂を
見上げたり、炊きつけたばかりの竈の下を気にしたりした。
保吉は夢からさめたように、机の側に立った田中中尉を
見上げた。
が、彼女はその上に高い甲板を
見上げたまま、紅の濃い口もとに微笑を浮かべ、誰かに合い図でもするように半開きの扇をかざしていた。
洋一は帳場机に坐りながら、店員の一人の顔を
見上げた。
保吉はストオヴの前に立った宮本と云う理学士の顔を
見上げた。
下の兵士たちは、屋根から向うを眺める浜田の眼尻がさがって、助平たらしくなっているのを
見上げた。
手に太い棒切れを持ってあたりをきょろきょろ見回していましたが、フト石垣の上を
見上げた時、思わず二人は顔を見合わしました。