先住の室が自ら其身を封じたる一室は、不開室と称へて、開くことを許さず、はた
覗くことをも禁じたりけり。
夢中でぽかんとしているから、もう、とっぷり日が暮れて塀越の花の梢に、朧月のやや斜なのが、湯上りのように、薄くほんのりとして
覗くのも、そいつは知らないらしい。
上野行、浅草行、五六台も遣過ごして、硝子戸越しに西洋小間ものを
覗く人を透かしたり、横町へ曲るものを見送ったり、頻りに謀叛気を起していた。
くめ子は小女の給仕振りや客席の様子を監督するために、ときどき窓から
覗く。
天井から下りて来ていたのは、この事務所の応接室を
覗く潜望鏡のような眼鏡と、その話をききとる電話とだった。
お志万は丸ぽちゃの色白の娘で和服好み、襟元はかたくしめているが、奥から
覗く赤い半襟がよく似合う。
取り付きの角の室を硝子窓から
覗くと、薄暗い中に卓子のまわりへ椅子が逆にして引掛けてあり、塵もかなり溜っている様子である。
目黒の筍売、雨の日に蓑着て若柳の台所を
覗くも床しや。
外を
覗くと、うす暗いプラツトフオオムにも、今日は珍しく見送りの人影さへ跡を絶つて、唯、檻に入れられた小犬が一匹、時々悲しさうに、吠え立ててゐた。