序に言へば、この作家の
言葉遣ひには、腑におちぬ日本語の誤りが眼についた。
夫の私などに対しても、世間の多くの細君よりも丁寧な
言葉遣ひをしたが、これも、それによつて、女としての品位を保たうとする心掛けのやうにみえた。
標準語の会話が往々無味乾燥に陥り、ていねいな
言葉遣ひが、時として白々しく滑稽に見えるのは、多くは語感の不足から来てゐる。
私は悲しさに育ちのいゝ他の二人の、何処か作法の高尚な趣、優雅な
言葉遣ひや仕草やの真似をして物笑ひを招いた。
軽率に一見すると、修飾の多過ぎる文章かと誤解するが、それは当時の制度習慣、また宮廷生活の要求する
言葉遣のあることを斟酌しないからである。