やがてむらむらと立昇る白い煙が、妙に透通って、颯と屋根へ掛る中を、汽車は音もしないように静に動き出す、と漆のごとき真暗な谷底へ、轟と
谺する……
颯——と頸から、爪さきまで、膚を徹して、冷く、静に、この梢をあれへ通う、梢と梢で
谺を打って、耳近に、しかも幽に松風が渡って響く、氷の糸のような調律である。
いつも運動場の南の隅から湧き起こる生徒の叫びを
谺している、薄気味の悪い教室だった。
……風は死んだのに、遠くなり、近くなり、汽車が
谺するように、ゴーと響くのは海鳴である。
久しぶりで、恁うして火を置かせたまゝ、気に入りの小間使さへ遠ざけて、ハタと扉を閉した音が、
谺するまで響いたのであつた。
「や、ものを言っても一つ一つ
谺に響くぞ、寂しい処へ、能くお前さん一人で来たね。
早や遠音ながら、声冴えて、
谺に響く夏鶯の、山の其方を見候へば、雲うつくしき葉がくれに、御堂の屋根の拝まれ候。
まいて手足はさながら深山の松檜にまがうて、足音は七つの谷々にも
谺するばかりでおぢやる。
山家、村里は薄紅の蕎麥の霧、粟の實の茂れる中に、鶉が鳴けば山鳩の
谺する。
四月すると、木々の梢が青葉に包まれ、枝と枝が重なり合って、小鳥は森に
谺を起こして、木の上の花を散らすくらいに、歌い出しました。