そこで何かと忙しい思をしている中に、いつか休暇も
残少なになった。
中洲に茂つた芦は勿論、「百本杭」も今は
残つてゐない。
が、痩せてはゐるものの骨組みのしつかりした、寧いかついと云ふ体格で、皮のたるんだ手や足にも、どこかまだ老年に抵抗する底力が
残つてゐる。
焼け
残つた土蔵を一家の住居に、それへさしかけて仮普請を見世にしてゐたのでございます。
見物の群集はこれに先を追はれて、山男を一人
残いた儘、見る見る四方へ遠のいてしまうた。
髭は品の好い鼻の下に、——と云ふよりも薄い唇の左右に、丁度薄墨を刷いたやうに、僅ばかりしか
残つてゐない。
ところどころに滝のほのめく、文室」——そんな附合も
残つてゐる。
長崎の「日本の聖母の寺」は未だに私の記憶に
残つてゐる。
その外にまだ、もう一つ、伝説としての答が
残つてゐる。
硝子戸から客間を覗いて見ると、雨漏りの痕と鼠の食つた穴とが、白い紙張りの天井に斑々とまだ
残つてゐる。