黒と
赤との着物を着たイイナはジプシイ占いをしていると見え、T君にほほ笑みかけながら、「今度はあなたの運を見て上げましょう」と言った。
この姿見のある部屋には、隣室の
赤児の啼き声のほかに、何一つ沈黙を破るものはない。
彼の妹は不相変
赤児に乳房を含ませたまま、しとやかに僕等に挨拶した。
と思うと船はいつの間にかもう
赤煉瓦の西洋家屋や葉柳などの並んだ前にどっしりと横着けに聳えていた。
この
赤児を孕んだ実は深い山の奥を離れた後、どういう人の手に拾われたか?——それはいまさら話すまでもあるまい。
しかもその鼻の先が、まるで蜂にでも刺されたかと思うくらい、年が年中恐しくまっ
赤なのでございます。
が、軒先に「たばこ」と抜いた
赤塗りの看板が出てゐるから、勿論マツチも売らない筈はない。
小頭は、佃久太夫、山岸三十郎の二人で、佃組の船には白幟、山岸組の船には
赤幟が立つてゐる。
色のさめた
赤毛布を腰のまわりにまいた、鼻の
赤いおじいさんもあった。