父の行方の心配、都に小娘一人住みの危うさ、とうとう姫も決心して国元へ帰ろうとほとんど路銀も持たずただ一人、この街道を
踏み出して来たのでした。
しかし、もう其処から一歩
踏み出して、マダム役に入つて行く心構へが必要ではないかと思ふ。
「せっかく、救けて頂いたようなものの、行先の覚束なさ、途中の難儀、もう一足も
踏み出す勇気はございません。
その蘆の根を、折れた葉が網に組み合せた、裏づたいの畦路へ入ろうと思って、やがて
踏み出す、とまたきりりりりと鳴いた。
然るに、此の『女優宣伝業』はなほ此の種の形式に必要な一二の用意は欠けてゐるにしても、兎も角も、大胆に、愉快に、そして見事に、大きな一歩を
踏み出してゐる。
それは岡っ引の半七が自分の縄張りの神田以外に
踏み出して働くことである。
張りついたやうに揃つた隊列を横から見ると一つ躯幹になつたが五六本の赭黒い足を力強く一時に
踏み出す。
軍属の高村は、ひとあし
踏み出して乱れた隊長の乗馬に、自分の馬首を追い縋って並べ立てながら
一歩を
踏み出して烏川の谷に入ると、もう雪が出てくる。
その一歩を敢然と
踏み出すためには、われわれは悪魔を呼ばなければならないだろう。