鈍感で舌のまわらない私は、私の尊敬する友達をなんとかして少しでも理解してもらひたいと思ふあまり、色々な
辛酸を重ねなければならなかつた。
辛酸万苦して飛躍を重ねた論理も、誠実無類な生き方を伴はなければ忽ち本拠を失つて、傲然自恃の怪力も微塵に砕け散る惨状を呈してしまふ。
金のある人などは、真に生活の苦労を知ることは出来ないかも知れないが、とにかく、若い人は、つぶさに人生の
辛酸を嘗めることが大切である。
人間は、希望と光明を持てばこそ、はじめて、幾多の
辛酸を凌いでも、前へ、前へと進んで来たのである。
こうして若い時から世の
辛酸を嘗めつくしたためか、母の気性には濶達な方面とともに、人を呑んでかかるような鋭い所がある。